番外編

40代で初めて転職する人におすすめの転職本プラス・アルファ

おすすめ本

40代から転職活動を始めた私が、読んで良かったと思った転職本やキャリア本を紹介します。

このまま今の会社にいていいのか? と一度でも思ったら読む転職の思考法(北野 唯我著)

転職活動を始めたばかりの頃に読みました。ストーリー自体が面白く、職務経歴書の作成作業とかはそっちのけで2日で読了しました。
一言でいうと、読んでよかったです。後悔しない転職先探しをするため、1度は読んでみることをおすすめします。

超ざっくり解説しますと、本書の半分かそれ以上はマーケットバリューに関係する説明になっています。マーケットバリューとは「技術資産」×「人的資産」×「業界の生産性」のかけ合わせなのだそうです。本書を読む前から「技術資産」と「人的資産」の重要性は意識しており、年齢に相応の経験を積むことを意識して会社生活を送ってきましたが、私にとって目からウロコだったのは「業界の生産性」でした。

本書にも書かれている通り、「金融業界の人間は20代で年収2000万円なのに、ウェディング業界の人間は30代後半でも年収200万円で働いている人がゴロゴロいる」のです。もちろん、業界や会社によって平均年収が異なることは認識しており、雑誌などで「平均年収ランキング」も見たことがありましたが、どの業界で働くかによって、同じような仕事(例えば人事部の仕事)をしていても生涯賃金がまったく異なる可能性が高いということをあまり自分事として意識していませんでした。

食品業界、製薬業界、金融業界、医療機器、半導体、自動車・・・などなど様々ありますが、10年以上先まで見据えてどのような業界に転職するのが良いか、自分なりに考えるきっかけになりました。ちなみに私の現職はどちらかというと衰退気味の業界だったので、本書を読んだことが転職の後押しにもなりました。

すでに20年近く社会人としてキャリアを積んできて、専門知識のみならず汎用性の高いスキルや経験も身に着けてきた40代の今だからこそ、本書で得た知識を使って生産性の高い業界に転職するということが実現できたのかなという気もしています。本書を読まずに転職活動をしていたら、年収200万円アップは達成できなかったかもと思います。

また、「転職は多くの人にとって初めての意思決定である。だから怖い」「今の会社を辞めることを阻むのは、ほとんどが見栄と恐怖だ」といった内容も、言われてみればその通りだと思いました。いままで自分なりに意思決定をしてきたようで、実はたいしたことは決めてこなかったのだと気づきました。高校受験、大学受験、大学院進学、就職活動など、いずれも親の期待や多数派の動きに合わせて行動してきたにすぎず、転職をするという判断とは決断のレベルが違うように思います。怖さの正体がわかれば心の整理もつくというもので、これも知ってよかったと思う内容でした。

また、ややテクニカルな部分になりますが「経営陣や主要メンバーのバックグラウンドからその会社のなかで力を持っている部門を特定する」という考え方も参考になりました。世の中には営業部門が強い会社とか技術部門が強い会社とかいろいろありますが、その会社の経営陣のプロフィールを見れば、ツテがなくてもある程度、その会社の強い部門がわかるとのことです。20代のときは、どの部門が強いかなど、あまり気にしたことはなかったと思いますが、特に管理職になると、所属部門の社内での地位は仕事のやりやすさ等に影響してくるので、知っておいてよかったと思うポイントでした。

3章まで読み終えたところで、「マーケットバリューの重要性はわかったけど、仕事のやりがいとか、得意不得意とか、そういったことはどう考えればよいのだろう」と思ったのですが、そのあたりについては4章に解説されていました。4章は「お金以上の何かについて」、つまりやりがいについて詳述されていました。本書によると、99%の人は具体的にやりたいことが決まっておらず、どういう状態でありたいかという観点に重きを置くBeing型の人間なのだそう。Being型とTo Do型をどれだけ明確に線引きできるかというのは議論の余地があるかもしれないですが、具体的なやりたいことよりも職場環境や就業条件で仕事を選ぶ人が多いというのは納得感のある内容でした。

そして、Being型と呼ばれる人はどうすれば好きなことが見つけられるかというと、「他の人から上手だと言われるが、自分ではピンとこないものを探す方法」と、「普段の仕事の中でストレスを感じないことから探す方法」があるとのこと。好きなことをみつけたら、その内容に基づいて自分のラベル(キャッチフレーズ)を決め、その強みを伸ばしていく方向で仕事を探せばよいようです。マーケットバリューの3要素とは別に、自分の強みという軸を加えて転職先の基準を決めていくのがよさそうです。納得でした。

世界一やさしい「才能」の見つけ方 (八木 仁平著)

タイトルの通り、本書は自分自身の才能を見つけるための手引き書です。説明を読みながら実際にワークをしていくとあら不思議、自分の才能がいくつも見つかります。とても良い本で、おすすめです。

本書によれば、才能の定義は「ついやってしまうこと」。「仕事選びの前に自分の才能を探すこと」をハンター×ハンターで例えると、「自分の念能力を決める前に水見式で念の系統を確認すること」に該当するように思います。自分にとって得意な領域で勝負したほうが、成功に近づきやすいはず。水見式をせず、あこがれだけで自分の念能力を決めてしまったら成功は遠のくというものです。ワークの内容は、「他人にイラっとすることは?」や「親や先生によく注意されたことは?」といった様々な質問に答えるところから、自分が「ついやってしまうこと」を導き出す作業です。実際にやってみると、「なるほどね」と思うことが多々ありました。40年以上も生きていると自分の得意や不得意は何となくわかっており、それを自覚したうえで仕事もしてきたつもりでしたが、本書のワークをしていると自分の性質がより明確にわかりますし、意識していなかった才能も見つかって有意義でした。

本書の手順に従ってワークし、自分の才能マップを作り終えたときは達成感と自信が入り混じったような感覚になりました。ちなみに大半のワークは1人でできますが、一部は他の人の意見を聞く必要がありますので、身近な人に聞ける環境でワークをするとよいかと思います。

また、Chapter 5には才能を育てる技術が説明されています。この章で特になるほどと思ったことは、「得意なこと(才能)で職種を決め、好きなことで業界を決める」ということです。たしかに、好きな業界に身を置いて、得意な業務に取り組んだら最強だと思いました。「得意(才能)」と「好きなこと」を掛け算した仕事をするのは、ゲームに夢中になるようなもの。他の人は努力することでも、自分にとっては遊びのように楽しいことで、どんどん差がついていく、、、ということですね。そのような仕事に巡り合えるかどうかは運の要素もあるかもしれないですが、目指すところを明確にすることで実現の可能性はグッと高まると思います。

「うまくいかないときにやるべきことは、もっと頑張ることではなく、やり方を変えること」というのも納得でした。努力を否定しているのではなく、得意なやり方に変えるだけで効率的に状況を打開できる可能性があるよということだと理解しました。人には意外と個性があって、同じ仕事に取り組んでも手順とかやり方は人によって異なりますし、人に対する仕事の教え方もぜんぜん違うので、自分の得意なやり方に気づいて実践するだけで仕事がうまくいくことがあるというのは私の経験とも整合していると感じました。

ほかにもたくさんの気づきが得られました。「才能」という側面から、転職先を考えてみるのに最適な本だと思います。

君たちはどう生きるか(吉野 源三郎著 羽賀 翔一(漫画))

言わずと知れた名著「君たちはどう生きるか」です。ジブリ映画にも「君たちはどう生きるか」というタイトルのものがありますが、あらすじを見る限り、両者は別物のようです。なぜ転職のおすすめ本が「君たちはどう生きるか」なのか。それは、転職先を考えることが、これから先をどう生きていくかを考えることに他ならないと思うためです。人生の折り返し地点である40代に転職するならば、今一度、自分がどう生きるかという問いに対して考えを巡らせてみるのは有益だと思います。ちなみに本書には漫画版もあります。転職活動をしながら読書時間を確保するのは難しいと思いますので、まずは漫画版をおすすめします。漫画版なら2時間もあれば読めるはず。原作の初版が1937年という古い本ですが、現代にも通じるエッセンスが描かれていると感じました。

本書は中学生であるコペル君が親戚との対話や友達関係を通じて成長していく物語です。テーマは「立派な人間になる」ということ。「立派な人間」については、例えば以下のような記述があります。

正直で、勤勉で、克己心があり、義務には忠実で、公徳は重んじ、人には親切だし、節倹は守るし……という人があったら、それはたしかに申し分のない人だろう。・・・しかし、君に考えてもらわなければならない問題は、それから先にあるんだ。・・中略・・もしも君が、学校でこう教えられ、世間でもそれが立派なこととして通っているからといって、ただそれだけで、いわれた通りに行動し、教えられたとおりに生きてゆこうとするならば、ーーコペル君、いいか、ーーそれじゃあ、君はいつまでたっても一人前の人間になれないんだ。・・中略・・肝心なことは、世間の目よりも何よりも、君自身がまず、人間の立派さがどこにあるか、それを本当に君の魂で知ることだ。そうして、心底から、立派な人間になりたいという気持ちを起こすことだ。

世間の価値観に表面的に合わせて振舞っているだけの人は「立派そうに見える人間」であって、本当の意味で「立派な人間」ではないと書かれています。自分自身の経験や体験を振り返り、立派な人間とは何かを自分でよく考えて、その通りに行動できることが真に立派な人間ということだと理解しました。自分にとって「立派な人間」とはどういう人間か、それを実現するためにはどのような生き方や職業を選択するのが良いか、という側面から職業観を考えるきっかけになりました。

また、本書では「立派な人間とは何か」は「自分で考えること」という論旨で一貫していますが、物語中でコペル君を導いているおじさんの考えとして、以下のような記述があります。

人間は、どんな人だって、一人の人間として経験することに限りがある。しかし、人間は言葉というものを持っている。だから、自分の経験を人に伝えることもできるし、人の経験を聞いて知ることもできる。・・中略・・いまの君は、何よりもまず、もりもり勉強して、今日の学問の頂点にのぼり切ってしまう必要がある。そして、その頂点で仕事をするんだ。・・中略・・僕は心から願っているーー君がぐんぐんと才能を伸ばしていって、世の中のために本当に役立つ人になってくれることを! たのむよ、コペル君!
・・中略・・僕たちは、ナポレオンの偉大な活動力に感嘆しながらも、なお、こう質問してみることができるわけだーーナポレオンは、そのすばらしい活動力で、いったい何をなしとげたのか。・・中略・・ナポレオンの一生を、これだけ吟味してみれば、もう僕たちにははっきりとわかるね。英雄とか偉人とかいわれている人々の中で、本当に尊敬ができるのは、人類の進歩に役立った人だけだ。そして、彼らの非凡な事業のうち、真に値打ちがあるものは、ただこの流れ(世の中の流れ)に沿って行われた事業だけだ。

おじさんはあくまでもコペル君の境遇、性格、性質などを鑑みて上記のような希望を持っているのであり、相手によって伝える内容は異なるものと思います。おじさんの考え方にも色々と論点はあると思いますが、私はこの本を読んで背筋が伸びたと共に、転職先を考える前にまずはどのような生き方をしたいかということを考えられたと思っています。

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